中学受験するときに大切なたった1つのこと

中学受験を考え始めたとき、まず頭に浮かぶのは、「どの学校を目指すか」「塾はどこに通わせるか」「過去問はいつから始めるか」といった、勉強や戦略のことが多いかもしれません。もちろんそれらも大切です。でも、実際に私が中学受験をさせたいと思ったときに、いちばん強く感じているのは、「その前にやるべき、たった一つの大切なこと」があるということ。

それは——夫婦の意見を一致させること——です。

中学受験は、ただのテストではありません。長期間にわたり、家族全体で取り組む大きなプロジェクトです。日々の学習、塾の送迎、模試の結果への対応、志望校選び、そしてメンタルサポート。そのどれもが、子供一人ではできません。だからこそ、親が同じ方向を向いていないと、すべてのバランスが崩れてしまうのです。

実際、我が家もスタート地点で意見が分かれました。私は「せっかく本人が少しでも興味を持っているなら、挑戦させてみたい」と考えていましたが、嫁は「まだ小学生にそこまでやらせる必要があるのか?」「あの子にとって無理をさせることにならないか?」と心配しています。

お互いに悪気はありませんし、子供にとって良い道を選択させてあげたい気持ちは一緒です。でも、こうしたちょっとした温度差は、日々のコミュニケーションの中でじわじわと表れてきます。たとえば、子供が「今日は勉強するの疲れた」と言ったとき、私は「よく頑張っているね」と声をかけても、嫁が「そんなに疲れるなら無理しなくていい」と言ってしまうと、子供は混乱します。

子供はとても敏感です。親の微妙な言葉のトーンや表情の違いを、想像以上に感じ取っています。そして、「本当に受験していいのかな」「やっぱりやめたほうがいいのかな」と、不安な気持ちが芽生えてしまうのです。

だからこそ、我が家がまずやったのは、夫婦でとことん話すことでした。どんな学校を目指すか、どのくらいの負担を夫婦間でどっちが引き受けるのか、費用面はどう考えるか、そして万が一、思い通りにいかなかったときはどうするか。1回や2回の話し合いでは終わらないと思います。お互いに不安や疑問をぶつけ合い、何度もすり合わせをすることが大切です。

その結果、「子供が自分の意思でチャレンジするなら、家族全員で支えよう」と決めることができます。この“同じ方向を向いた”という感覚が、後のすべての判断の土台になると思います。

意見をそろえることのメリットは計り知れません。勉強の方針に迷ったとき、夫婦間でブレがなければ即断即決ができます。何より、子供が迷ったとき、「パパとママはどちらも応援してくれている」と感じることが、精神的な安定につながるのです。

中学受験は、思った以上に親の出番が多いものです。勉強のサポートだけでなく、メンタルのケア、生活リズムの調整、志望校選びの相談・・・ひとつひとつは小さなことかもしれませんが、それが積み重なったとき、親の姿勢が子供に与える影響は非常に大きいと思います。

だからこそ、これから中学受験を考えているご家庭に、心から伝えたいのはこれです。

受験に取りかかる前に、夫婦でじっくり話し合ってください。

家庭の中にズレや温度差があるままでは、子供は全力を出せません。逆に、親が揃って同じ方向を向いていれば、たとえ困難があっても、子供は乗り越える力を持てます。

塾より、教材より、勉強法よりも先に確認すべきこと。それが、「両親の意見がひとつになっているか」という、たった一つの大切なことなのです。

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